「じゃあお先に」

あたしがそう言って背を向けて帰ろうとした時、

「りささん!」

伊藤君があたしの名前を呼んだ。

「何?」

「連絡先、聞いてもいいですか?」

「あっ、うん。いいよ」

そう言いながら、あたしはスマホを取り出して、伊藤君にLINEを教えた。

「おおっ!! やるな健太郎」

「りさ、やったね」

杉谷さんと麻友が口々に言ったその時、タクシーがちょうどきた。

「じゃあ連絡しますね」

そう言い残して、伊藤君はタクシーへ乗り込んだ。

そして、3人乗せたタクシーは動き出し、あたしとおとなりさんは2人きりになった。

「あーっ。寒っ。俺らもさっさと帰るぞ」

季節は冬。12月の終わり。冷たい風が吹き抜ける中、あたしたちは肩を並べて歩き出した。

「ねぅ? もう一軒どっか行かない?」

「はっ? 何で俺を誘うんだよ?」

「だって....やっぱまだ家に帰りたくなったんだもん」