次は、怒る気持ち。

 沙英ちゃんはいつもおれのことを優先してて。
 自分のことはいつも後回しで。
 そんな沙英ちゃんを怒りたい気持ちでいつもいっぱいだった。

 沙英ちゃんの人生は沙英ちゃんにしか歩めないんだから、沙英ちゃんのために使ってほしかった。
 それなのに、いつもおればっかり。

 嬉しかったけど、おれの病室に来てる時間、おれと話してる時間、おれのために動いている時間。
 それらが本当は沙英ちゃんが友達と遊ぶための時間だったんだと思ったら、本当に悔しくて。

 沙英ちゃんにしてもらうばっかりの自分が嫌で。
 だからこの怒る気持ちは、俺自身に対してもかもしれない。

 でも、沙英ちゃんにも怒ってるよ。
 いつもおればっかりを優先して。
 嬉しいけど、もっと自分のために使ってほしいと思ってた。

 ・・・でも、ありがとう。実はめっちゃ嬉しかった。
 ありがとう。