花と雫


「一般的な話をしますと、学校などで盗撮事件があった場合最初に疑われるのは男性職員です。故に、職員に情報公開を制限していても何の不思議ではありません」

「まあ、確かに。理にかなっていますね。ただ、発見されたカメラに入っていたSDカードならまだ犯人は手を付けていない物なのではないですか?すると仮に私の指紋が付着していたという事実があるならば、それはいつどうやってついたのでしょうか」

「SDカードを毎度変えているという仮説を立てているのならば、それは仮説であり犯人にしか知りえない事。証拠としては根拠がなさすぎるのでは?加えて、もう一つだけお話ししましょうか。これも一般的な話になりますが、新崎さんはSDカードを取り出す場合何指を使いますか?」

不敵に笑いながらそんなことを聞く渡部を見て、冬華はぞっとする。

「親指と人差し指、ですかね」

「ですね、残念ながらこの一週間私、料理中に指をけがしてしまいましてね、人差し指と親指にほら」