そういうと、渡部は冬華の腕を掴み、腕時計を外した。
そして、それを靴裏で踏みつけた。
グシャという音共に破壊された腕時計を見つめた。
きっと今頃生徒会室では大慌てしている人たちがいるに違いない。
「お詳しいんですね、見ただけでお分かりになるとか」
「たまたまですよ。で、私が盗撮犯である証拠が見つかったんですか?」
口元は笑って居るが目は笑っていない。
そんな視線を向けられつつも、冬華は口を開く。
「SDカードに付着していた指紋があなたのものと一致いたしました」
「あれ、変ですね。職員会議では指紋は一切発見されなかったと報告を受けたんですが、新たに見つかったんですか?」
想定内の反応である。
ただ、これはあくまでも揺さぶりにもならないものだと承知で話す内容だ。

