それらしい理由を並べれば、渡部はあぁ、と納得したような顔をして微笑んだ。
「いえ、構いませんよ。廊下ではなんですし、多目的に行きましょうか」
そういって、渡部はすぐそこの多目的室を指さした。
「はい、お願いします」
先を行く渡部についていきながら冬華は気づかれないように静かに息を吐きだした。
多目的室は小会議室のような部屋になっており、長机と椅子が並ぶ。
すでにボイスレコーダーと通信機の電源は入っている。
冬華は適当な位置で待っている渡部の元へと向かい、教科書を広げた。
「ええっと、ここなんですけど…」
「あれ、普通に英語の話をするんですね?私はてっきり盗撮事件についてお話しされるのかと思いました」

