差し出された腕時計を受け取り、つける。
「ボイスレコーダーと通信機を兼ねた時計。たぶん訪ねて行っても部屋は向こうで指定されるだろうから、中の様子が分かるように。何かあったらすぐ向かえるし」
「おぉ、そんな高性能の機械があったとは」
それから簡単に時計の説明をしてもらった。
「なぁ、」
一通り説明が終わり、自分の準備をしようとしたところで不意に悠真に声を掛けられる。
「ん?」
「無茶するなよ」
「…心配してくれてんだ?」
少しにやにやしつつ、そう言えば悠真は呆れたように息を吐きだし、冬華の髪をわしゃわしゃする。

