花と雫


冬華は髪をあげながら悠真を見る。
「ファスナーの上げ下げが出来なかったから手伝ってもらってただけだから、悠真君が思っているほど面白い展開ではないのでーす。ごめんねぇ」

そう笑えば、悠真は思いっきりしかめっ面をする。

「おもんない展開でごめんなぁ、悠真」

それに便乗するようにチカがにやりと笑う。
そうこうしている間にファスナーは下ろされた。

「ありがとう、チカ」

髪を下ろし、振り返ればチカのにっこりと笑った顔が目に入った。