花と雫


夏樹の母親はそういうと微笑んだ。
その瞬間、夏樹の顔に喜びの笑みが浮かんだ。

「わ、わたくしは諦めませんから!」

そういうと沙知は出て行ってしまった。
夏樹はその様子に苦い顔をするが、小さく息を吐きだした。

「夏樹、信三さん、沙知様のお見送りに行ってらっしゃいませ。それと、きちんと謝罪してくるのですよ」

夏樹の母親がそういうと、二人はいそいで立ち上がり沙知が出ていった方へと向かった。
残された二人きりの空間である。

「この度は夏樹の茶番に付き合わせてしまい、ごめんなさいね」