「それは、」
「それにお前にはもうずいぶん前から決まっている沙知様がいらっしゃるだろう?なぜそれを今更拒否する」
そういわれ夏樹は口をつぐんだ。
自分の父親の言わんとしていることが分からないほど夏樹も子供ではない。
「好きな人がいるから、では理由にはなりませんか?」
真剣な瞳をした夏樹を見て、夏樹の父親が一瞬、眉を動かした。
母親はというと相変わらず微笑を浮かべながらその様子を見守っている。
「口を挟む様で申し訳ないのですが、わたくしから見れば夏樹さんと新崎さんが本当にお付き合いされているようには見えないのですが」

