花と雫


現実で初めて実の親を父さま、母様という人を見たなーとなんとも緩い感想を持ちつつ、両親である方々を見つめた。

夏樹は威厳のある父親というよりは柔らかな、だがしたたかな女である母親の遺伝子を多く受け継いだのだと思う。
顔がよく似ている。

「そちらの方がそうか」

男性に視線を向けられ、姿勢よく頭を下げた。

「初めまして、夏樹さんとお付き合いしております新崎冬華と申します」

微笑み、二人の顔を見つめればそれほど険しい顔はしていなかった。
だからと言って、歓迎ムードなどではないが。

「新崎さん、初めまして。夏樹の母の真理子です。そちらは父の信三です」

紹介してくれる二人に会釈し、次は女性とは目を向ける。

「初めまして、わたくしは夏樹さんの見合い相手の沙知でございます。本日は同席させていただきたいと思います」