花と雫


あの時名前は伏せたはずなのに、と首を傾げればチカはバツが悪そうにあーと声を漏らす。

「さすがに、情報提供者不明なんてことはでけへんから理事長が調べてた。そやし、渡部の携帯から画像が出てきたらしい」

「そっか、でもまあ。うまく片付いたならそれでよかった」

これからはもう、自己の安売りなんてせずに生きてほしいな、なんて人のことなのに思う。
麗奈はよく自分のことをおせっかいだというが、それは自分も同じであると感じていた。
たとえ、おせっかいだとしても、宮本の考えが少しでも変わってくれたらいいな、と思う。

「じゃあ、私部屋に戻るね」

「はーい」

ご飯は後回しにしてとりあえず、制服から着替えるために部屋に戻る。

ラフなスウェットに着替えていると、ちょうどタイミング悪くインターフォンが鳴る。
たぶん美穂がご飯を誘いに来たのだろう。