「優しさに付け込んで、ごめん」 ぼそりとそうこぼし、冬華は立ち上がった。 もうじき楓ママが帰ってくる時間である。 本当は帰ってくるまでついてあげたいところだが、ここで本当に移ってしまうと楓は自分を責めるだろうから帰ることにする。 部屋を出る前に、もう一度振り返り、楓を見つめる。 「早く治しなね」 そういって、冬華は部屋を出た。