「これ貼って寝な?」
そういうと「あーうん」と生返事が返ってくる。
いつもは整えられている髪も乱れ、着ているのもスウェットで少し新鮮さがある。
長い付き合いのはずだが、風邪の時にお見舞いに来るのは初めてだったりする。
「あー!冬華ごめん!ユリと私合コン行く予定だったんだ、忘れてた!」
突然、大きな声を出しかと思うと麗奈はおいていた荷物をもって立ち上がった。
「おい」
“そんな嘘いらないから”と言う前に楓の低い声が聞こえる。
そんな楓を見ながら麗奈は少し困ったように笑う。
「ごめんね、冬華。私達行かないといけないから、楓ママが帰ってくるまで残っててくれる?」
あの常識人代表のユリまでもがそんな嘘に乗り始めた。
冬華は一つため息をついた。
「うん、いいよ。麗奈、この埋め合わせちゃんとしてもらうから」
「・・・なんで私だけなのよ」
にっこりと笑っていえば、麗奈は苦笑する。
「じゃあバイバイ、楓お大事に」
そういうと二人は部屋を出て行ってしまった。

