「え?……っ!!?」



そ、そうだった!!


あたし今、夜神に抱き締められ…?!!



「うん、いいよ~!そう捉えてもらってもー。もうすぐ俺たち付き合うはずだから〜。」


そう夜神は大したことないような平気な顔をして言ってのけると、さらにあたしの身体を自分の方へ引きつけた!!



「田畑さんの全部、俺のものだし。他の奴になんか絶対渡さねぇから。」


「ーーーッ!!??な、なななにを言って!!?そ、そんな話一度だってしてないでしょっ!!?離し、」


「さっき田畑さん、俺のこと“ちゃんと見る”って言ったじゃん。だからもっと俺でいっぱいになれば?」



夜神はそんなわけのわからない屁理屈をこねると、あたしの顔を覗き込んでくる!



「だから今、俺でいっぱいにしていい?」


「えっ!??や、やがみ、ちょっと、」


あたしの制止もきかず、夜神はさらに顔を寄せてきて唇に触れようと迫ってきた!!



対するあたしはというと……。




な、な、な、



なんて軽い奴なのッ!!!



怒りにも似た感情が、なぜか一番に降りてきた!!



「~~~っ勝手なことばかり言わないで!!それと、いい加減に離してよッ!!!」


と、あたしは力の加減を忘れて思いっきり夜神を突き飛ばすと、そのまま水場まで逃げてしまったのだった…。








バターーーン!



麻莉奈が風のように去った直後、そんな虚しい音が響き渡った。


「…………夜神。大丈夫?」


瑠衣が引きつった笑顔で椅子から転げ落ちている夜神を見下ろす。


「ん〜、平気みたい〜。」


そう呟いた夜神は仰向けの状態で虚空を見つめていた。



しかし、先程の光景を思い出しては夜神の眉間に皺がよる。



麻莉奈がずっと気にしていたある男の事を思い出しては、彼の幻影を鋭い目で睨んでいた。



「何だったんだろうな、あの男。」