天ぷら屋さんはすぐに見つかり、ちょっと待たされたけど、私達は1つのテ-ブルでお昼を摂ることが出来た。


いろんなことを話しながら、和気あいあいと食事を楽しんでいた私達の話題は、いつしか今度の金曜に迫った野球部の追い出し試合のことに。


「徹くんが塚原くん達卒業生チ-ムの指揮を執るんでしょ?」


「ああ。一応指導者を目指してるんでな。将来の為になると思って、監督に頼み込んだんだ。やるからには勝ちに行くからな、よろしく頼むぞ。」


「俺と神以外は、あてになりませんよ。先輩も代打要員で準備して下さいよ。」


「俺の方がよっぽどあてにならないよ、もう。」


今日の先輩は苦笑いが多い。


「いや、大丈夫。今の塚原は乗りに乗ってますからね。頼りになりますよ。なっ、塚原。」


「なんだよ、変なこと言うなよ、お前。」


「だって、愛しのあの子が応援に来てくれるんだろ。」


「いい加減にしろよ!」


突然大声を出すと、聡志は立ち上がった。


「そろそろ行こうぜ。スカイツリ-、結構並ぶだろう。」


「お、おい、塚原・・・。」


歩き出す聡志を慌てて、沖田くんが追いかけて行く。


「どうしたんだろう?塚原くん。」


きょとんとする悠に答えられずに、私も立ち上がる。


「先輩。」


続いて立ち上がろうとした先輩に、加奈が声を掛ける。


「先輩は何か知ってるんですよね?」


「別に特別なことを知ってるわけじゃない。事実をいくつか聞いてるだけだよ。でもそれを本当に聞きたいのは、桜井じゃないだろ?」


そう言うと先輩は私に視線を向ける。


「ねぇ、いったいどうしたの?」


全く事情が分かってない悠が、心配そうにみんなに聞くけど


「私、別に聞きたいことなんかありません。沖田くん達が待ってるから、行きましょう。」


私はそう言うと、幹事として、お会計に向かった。