今日も朝から太陽は絶好調。私達は日焼け止めをたっぷり塗って、ハマスタに足をはこんだ。


あと2つ、あと2勝すれば、我が明協高校は4年連続、4回目の夏の甲子園大会出場を手に出来る。


偉大な先輩達が抜けて、昨年秋の県大会は初戦負け。明協は終わったと嘲笑う声も上がる中、ここまで来た。


「それにしても暑いね。」


「グラウンドは人工芝だから、もっとだろうね。」


早くもバテ気味の私達に対して、しかしグラウンドの選手達はハツラツと試合前の練習をこなしている。連日の猛暑の中の試合が続いているのに、凄いな。


その中で、中心として動いてるのは聡志。私にはそう見える。キャプテンは神くんだけど、チームの司令塔として、かつての村井キャプテンさんに、負けないくらいの存在感が出て来たんじゃないかな。


あいつを誉めるのは、なんか悔しいけど、成長したなぁと素直に思う。


そうこうしてるうちに、時間になって、相手高の練習時間になる。


前日、ずっとウチの高校としのぎを削り、今年の春の選抜大会に出場した東海高校が敗れ去った。当然今大会も、ウチより下馬評は高かったけど、相手高校の強打に沈んでしまった。


そして、今日明協が対戦するのが、他ならぬその、東海を叩きのめした湘南学園。昨日だけでなく、これまでも圧倒的な打撃力で勝ち進んで来た高校だ。


「凄い迫力だね。」


「とにかく打倒明協、東海をモットーに全国からいい選手を集めたらしいよ。投手がそんなに良くないっていう評判で、あんまり前評判は高くなかったんだけど、凄まじいばかりの打撃力で、それを覆して来ちゃった。」


「昨日だって、東海高のエースが粉砕されてたもんね。」


悠が呆れたように言う。東海高校のエースは今年の神奈川ではナンバーワンと目されていたピッチャーだったけど、かなり打ち込まれていた。


「厳しい戦いになるね。」


「うん、でも頑張って欲しいな。沖田くんと塚原くんなら、きっと抑えてくれるよ。リリーフの橘くんだって、凄い球投げるし。」


「そうだね。」


(聡志、頼んだよ。君のリードが頼りなんだから)


悠の言葉に頷きながら、私は思っていた。