「ねぇ、聞いてる?」

目の前にいる君に向かって私は何度目かになるこの言葉を吐いた。

でも君はそんな私の様子に気づいていないのか興味なさげに

「うんー」

と言うだけ。

ねぇ、こっち向いてよ。
ねぇ、私を見てよ。

君と喋りたいから私は喋ってるのに。

君はずっとずっと上の空。

気づいて欲しいから何度も言ってるのに、何も聞こうとも見ようともしない。

なんでなの。

少しだけでもいいんだよ。

お願いだから、私を見て。

…なんて、知ってる。

私を見ないわけも、私を呼ばないわけも。

だって…

「…今日、ちゃんと待っててくれるかな。」

君は今から告白する好きな子のことで頭がいっぱいだから。

「きっと、待っててくれるから大丈夫だよ。」

本当は応援なんてしたくないんだよ。
本当は私以外見て欲しくないんだよ。

でも君が好きな子の話をするときだけ私にも本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれるから、じゃあもう私は応援するしかないじゃないか。

私が発した言葉は、周りの空気と混ざり合って消えていく。

ほらね、やっぱり君は聞いてくれない。