二年越しのありがとうを、キミに。

程なくして駅員室へ着き、私は駅員に彼が前の電車に財布を忘れてきてしまい困っているということを伝えた。


財布の色や形、大きさなどを伝えるとすぐに調べてくれることになり、私と彼はそろって駅員室のそばで待つことにした。


届け出を出したことで少し落ち着きを取り戻した彼は自分のことを話してくれた。


カイルという名前で18歳。アメリカのニューヨークに住んでいるらしい。


自分から英語で何かを伝えることは難しいけれど、簡単な英文なら聞き取ることはできる。


彼の話を聞き洩らさないように必死に耳を傾ける。


今回が初来日で、電車でどこかへ向かう途中に財布を忘れてしまったらしい。


すると、彼はハッと何かを思いついたかのように背負っていたバックパックを下ろして中から何かを取り出した。


パンフレットには【神田外語大学】と記されている。


彼は自分とパンフレットを交互に指さし白い歯を見せてにこりと笑う。