彼とはじめて会ったのは高校二年生のとき、今私が研究を行っている大学のオープンキャンパスに行ったときだった。

同じ学部を見に来ていて、たまたま隣の席になってから、違う教室に移動するときもなんとなく近くにいた。

会話という会話はほとんどしていない。

ただ、近寄りがたい雰囲気とかはなく、むしろ遠い昔に会ったことがあるような、不思議な感覚だった。


見学が済んでお昼になり、食堂でご飯を食べることになった。

『「あっ」』

ご飯を運び、ほぼ同時に隣同士に座る。

なんとなく照れ臭くて、ちょこんとお辞儀をすると、彼もはにかみながらお辞儀をした。

そして彼はすぐにスプーンでカレーライスをすくい、一口頬張った。


「うん、…うまっ」

きりっとした雰囲気の彼が、美味しそうに食べ物を頬張り、無邪気な表情をする横顔…。


これが妙に脳裏から離れずにいた。