「本当は普通の人が羨ましいよ。私だって好きで病気になったわけじゃないないのに。 相手の気持ちなんか、顔も分からないのに読めるわけないじゃん!」
あぁ、これじゃただの駄々っ子。
言ってることがさっきと180度違うし。
「ごめん、今のはなし」
「なんで?」
「だってバカみたいじゃん。愚痴ったところで病気が治るわけじゃあるまいし、ショックを受けたからって友達が戻ってきてくれるわけもないでしょ。悩み損だよね、うん」
冷静になってみると、なんだか色々恥ずかしくなってきて。
聞かなかったことにしてほしいとお願いすると、壱哉は少し間をおいてからクスクスと笑いだした。
「ちょっと、笑うことないでしょ」
「いやだって、凹んでるかと思えば勝手に怒りだして、そろそろ泣くかなぁーと見てたら、自己解決し始めるし。あんた面白れぇーな」
「なっ、おもしろ、いだと?」
「なんつーか、見てて飽きないわ」
それって褒められてるの? 貶されてるの?
壱哉が笑っているのは分かるけど、その表情は見えないから、彼の発した言葉にどんなニュアンスが含まれているかまでは読み取れない。
だいたい日本語って難しすぎる。
もっとはっきりダイレクトに気持ちが通じる言語であれば、不安になることもないのに。



