「ただ、    」



「あいつら、言わせておけば……」


こういった陰口は割とよくあることなので、あぁまたかって感じだったけど。

壱哉は我慢ならなかったようで、唸るように言葉を吐いてから教室のドアを開けようとする。

気持ちは嬉しいけど、それって逆効果だから!

咄嗟に壱哉の腕を掴んで、平気だと伝えようとしたとき。


「志穂もさー、なんであの子といつも一緒にいるの?」


半分呆れたような声が聞こえ、はっとした。

志穂ちゃんも、そこに居るの?


「それ、私も思ってた。なんで?」

「うーん、親がね。仲良くしてあげなさいって」


あぁ、この声、志穂ちゃんだ。


「親?」

「なんか昔から知り合いみたいで、小学生の頃からの腐れ縁っていうのかな。ずっと同じクラスになるようにされてるんだ」

「まじ? 面倒だね。それ」

「まぁでも、そのお陰で何だかんだ博貴くんと喋れるし、ラッキーかなって」


志穂ちゃん、そんな風に思っていたんだ。

ずっと同じクラスにされていた? 腐れ縁?

友達だと思っていたのは、私だけだったんだ……。

へぇ、そうなんだ。


「行こ」

「お、おい」