奏side

僕は全国ナンバー1の暴走族"星竜"の

副総長、桜川 奏(さくらがわそう)

主に情報管理や仲間への指示出しが

中心の役職なんだ

そして我等が総長の幼馴染でもある

その総長からの指示である女の子を

探してたんだけど…

ハッキングして探しだした女の子が

錬に笑顔で抱き着いている

正直かなり驚いているんだ

もちろん顔には出さないけどね(笑)

昨日の今日であっさり会えるとは

想定外だったけど

これは喜ばしい展開だよね

それにしても北斗から聞いた特徴と

一寸の狂いもなくピッタリだ

金髪碧眼に愛くるしい笑顔

150センチと小さな背丈

透き通るような白い肌

庇護欲を駆り立てられるのは

分かる気がするよ

目の前で錬とやり取りする

この子は話せないんだろう

片時もノートとペンを離さないから

そんな事をつらつらと考えていると

錬から自己紹介された

「詩、コイツは桜川奏(さくらがわそう)。
さっき話した俺の仲間だ」

「初めまして、詩ちゃん。
僕は桜川奏、奏って呼んでね」

見た目で誤解されやすい錬に

なんの戸惑いも見せないんだから

かなり大物の予感がする

それに…

詩ちゃんの目は偏見のへの字もない

真っ直ぐ純粋な目

それだけで信用できる

そう思わせる目だ

≪初めまして、星川詩です。
錬がお友達になってくれました!
よろしくね、奏≫

≪奏もお友達になってくれる?≫

笑顔でノートを見せる詩ちゃんに

心からの言葉を送る

「もちろんだよ、よろしくね」

そう言って笑ったら

手を握ってぴょんぴょん跳ね出した

嬉しそうにニコニコ笑顔の詩ちゃんを

素直に可愛いと思った

話せない分、身体で表現してるんだ

もちろん表情でもね

僕らの周りに寄ってくる子達とは

全く違う詩ちゃんは新鮮で

嬉しいと思ったよ

北斗が気にいるのも分かる気がする

そして女の子が苦手な奈留さえも

僕ら以外には見せない本当の笑顔を

短時間で引き出して見せたんだから

本当にすごい子だ

詩ちゃんが姫になってくれたら

僕らは、星竜は

もっと強くなる気がする