北斗side

昨日、俺は詩に告白をした

恋愛感情での好きが分からないけど

俺のことは好きみてぇだから安心した

絶対詩に彼女になって欲しい

俺だけのモノにしたい

返事は遅くても構わねぇ

俺の気持ちは精一杯伝えたんだし気長に待つつもりだ

告白すんのも緊張したけど、待つのも案外ドキドキするもんだなぁ

にやけそうになる顔を見られたくなくて

総長室へと移動した俺に一本の電話が入った

俺と奏と、もう1人の幼馴染である穂花だ

「もしもし、どうした」

『北斗…最近またお父さんに叩かれるの。
やっぱり…っう…っひく…私のこと嫌いなのかな?要らない子なのかなぁ〜?
北斗も……っ私のこと……っひく……嫌い?
守ってくれないのぉ?」

電話越しの穂花は泣きじゃくり、昔からの口癖を口にする

穂花の家は父子家庭で、何かあると親父さんは穂花に手を挙げる人で、その度にこうやって泣きながら自分は嫌われているのか、
要らない子なのか、俺や奏に嫌いかを聞いてくる

そうやって確かめることで、自分の存在意義を求めてくる

その度に俺はこう言う

「…好きだって、穂花。
守ってやるって言ったろ?
だから、心配すんな」と…

そうすれば決まってお決まりの文句が
返ってくるんだ

『…ホント?守ってくれる?好き?』って

穂花は俺の幼馴染であり、妹みたいな存在だから何かあれば守ってやるし助ける

「当たり前だろ、幼馴染なんだからよ。
家にいるのが辛いんなら、倉庫に寝泊まりするか?奏もいるしよ」

『え、いいの?倉庫に寝泊まりしても…』

「あぁ、穂花が落ち着くまでいればいい」

『ありがとう!奏くんにも会いたいし
行きたい!倉庫に着いたら連絡するね!』

「おぅ、分かった」

通話を終えてフッと溜め息が出た

穂花が小さい頃にお袋さんが病気で亡くなってから、親父さんは穂花に手を挙げ始めた

“お前が死ねば良かった”

“お前なんか要らない!あいつを返せ!”

“俺はお前が大嫌いだ”

そんな言葉で罵って手を挙げられると、いつも俺や奏に泣きついて来てたけど…

それは穂花が中学生の頃に治ってたはずだか、また始まったのか?

一体何があったってんだよ…

まぁ、とにかく穂花が元気になるまで

倉庫に寝泊まりさせるか

アイツらにも説明しとかないとな

ーガチャ

は?なんなんだ、この状況は…

総長室の扉の先にアイツらと、錬に抱き締められてる詩が居た

錬は睨んでくるし、他のヤツは今にも泣きそうに顔を歪めて詩を見つめてるし…

一体何があったってんだよ…

俺はただ呆然と立ち尽くしていた