詩side

子猫を助けてくれたのが北斗だと分かって

るんるんの私!

この町に来てから出逢う人達は

みんないい人ばかりで

私の心はポカポカで超〜ハッピー!!

そんな私に北斗は真剣な表情を浮かべ

私を見つめてくる

他のみんなもさっきまでの笑顔はなくて

真剣だ

これから大切なお話があるんだって

分かった

だから私も真剣に向き合わなきゃ!

そんな私に北斗は言ったの…

「俺達星竜の姫になって欲しい」と…

星竜の姫?

首を傾げた私に奏が分かりやすく

説明してくれる

「さっきも話した通り、僕たちは
星竜っていう暴走族をしてるんだ。

僕たちは全国ナンバー1に立つ暴走族…

だから、その地位を狙ってくる他の
暴走族も沢山いて…喧嘩して先代、
僕たちの先輩が築いてきたナンバー1の
地位を守らなければならない。

だから、危険といつも隣り合わせなんだ。

本当は喧嘩なんかはしたくないし、
仲間を傷付けたくはないんだけど
それが僕たち暴走族の世界。

だけどね、仲間と過ごす星竜という
場所は僕たちの居場所で大切なもの。

僕たちの他にも沢山の仲間達がいる。

その仲間達にとっても星竜は
大切な居場所なんだ。

その僕たち星竜の姫には
詩ちゃんが必要なんだ。

関わってしまえば詩ちゃんにも
危険が付き纏うことになる…

だけど絶対に守り抜いてみせるから
僕たち星竜の姫になってくれませんか?」

暴走族、星竜の姫、喧嘩、危険、守る…

沢山の言葉が頭の中をぐるぐる回って

私の知らない世界があるんだって思った

その世界はみんなにとって大切で

居場所…

そして、その世界はみんなにとって

誇りある世界で居場所なんだよね?

みんなの真剣な想いが伝わってくる

そして、その世界と居場所に

私が必要だと言った奏…

話すことも出来なければ喧嘩も

出来ない私が必要だと言った…

誰かに必要とされるのって

素直に嬉しい

だけど、本当に私でいいのかなぁ?

こんなに真剣な表情と目を向けてくる

みんなに私は何をしてあげられる?

分からない…

だけど、漠然と思うことがある

それは…

みんなが心からの笑顔で居られるように

すること

悩み、苦しむことがあったら

寄り添いたいということ

みんなが傷付けられようとしたら

私が盾になって守りたいということ

何が出来るか分からないって思ったけど

答えは出てるじゃない、私!

私はみんな1人1人に視線を送って

笑顔で大きく頷いた

そしてノートにこう記した

≪私がみんなの力になれるなら
姫になりたい!
私もみんなを守るからね!≫

ノートを見たみんなに安堵の表情と

喜びの笑顔

そして…

「「「「これからよろしく!姫!」」」」

というお言葉を頂きました!

そんなに喜んでくれるなんて

私は幸せ者だなぁ〜!

ふふふっ!嬉しい!

頭上からは重低音の声…北斗だ

見上げた先に優しく見つめる瞳は

黒曜石みたいで綺麗…

「詩、姫になること決めてくれて
ありがとな。
これから先、必ず俺が絶対守ってやる。
だから絶対離れるなよ…分かったか」

そしてまた少し笑って頭を撫でてくれた

そんな風に言ってくれてありがとう

私も守るからね!

そんな意味を込めて笑顔で大きく頷いた

2人で笑い合ってると、突然…

大きく叫び出した錬と奈留

いきなりの大声ですっごい

びっくりしちゃった!

咄嗟に北斗のシャツを掴み

瞬きをしながらそっちに顔を向けると

錬は顔を真っ赤にして

「北斗っ!俺が…じゃなくて俺達だろ!?
しかも…いいい、いつまでその格好でいるんだよ!」
と、どもる錬に

奈留なんて頬を膨らませて

ぷりぷり怒ってるし!

2人ともどうしたのかなぁ?

「北斗だけの姫じゃないんだよ〜!?
僕たちの姫でもあるんだからっ!!
独り占め禁止っ〜!!」

奈留の言ってる意味がイマイチ

よく分からない…

北斗だけのとか、僕たちのとか

独り占めとか…

私は私、誰の物でもないよ?

う〜ん…

あ、でも星竜の姫になるんだから

星竜のお仲間さん達のモノになるのか!

ん?なるの??

1人、北斗の膝の上で考える私は

そしていまだに頭上では口論を続ける

錬と奈留と、それを無視して私の頭を

撫でている北斗

それを苦笑の表情を浮かべ、見てる奏

空をジッと見てる冬を見渡しみた

やってる事はみんなバラバラだけど

でも…なんかいいな、この雰囲気

みんながみんな、自分らしくいれる場所

そんな感じだもん!

みんなと一緒はすっごく楽しい!

心の中で、よろしくとありがとうを伝えた