ーーじゃあね。 あえて、“またね”とは言わなかった。 また会う保証など、 …今はどこにもない。 、外は、雨が降っていた。 「傘、持ってきてないんですけど。」 ぽつり、呟いた声が、暗闇に溶けていく。 そして、ふとよぎった考えが、私の足を止めた。 …今は、雨に濡れるのがいいのかもしれない。 未練たらしく熱くなったこの心を、 冷やすのに丁度いい。