だけど、柚には、間違って欲しくない。
…絶対に、私以上の苦しみを味わって欲しくない。
ため息を吐く。
今度は、意味をなさない、そんなため息。
それで、不意に柚の方を見ると、寝息を立てて寝てしまっていた。
「寝た………か、柚」
そこに、氷雨さんが姿を見せる。
…心なしか、どことなく、目が赤い。
「どこから聞いてたの、氷雨さん。
…盗み聞きとか、タチ悪い。」
視線をちらりと氷雨さんに向けた。
すると、氷雨さんは肩をすぼめて、「ぜーんぶ」と白状する。
「芹那、お前、さ。
もう、そんなに気にしなくていいんじゃないか?
芹那は悪くねえよ。
…あの、日だってそうだろ」
ーー私が悪くない、って?
はっ、そんな訳、ない。



