【芹那side】
こういう時、どういう言葉を、人間は欲するのだろう。
たまに、信じてもいない神様に縋りたくなることがある。
…こういう時、特に。
存在しない人に頼っても、どうこうなる訳じゃないんだけど、
なんだかどうしても、
押し付けてしまいたくなる責任というものはある。
今は、そういう問題じゃないけど。
「…何も、言わないのか?」
柚が私に尋ねる。
「なんだろうね。
自分でも、上手く言えないけど、
同情じゃない、なにかを
必死に探してるんだ、今、きっと。」
だって、同情だけじゃ、
ーー柚は前に進めないでしょ?
「だから、一回しか言わないよ、
よく聞いて。」
言葉がまとまった。
と同時に、私の目にも微かに灯が宿る。
柚は、固唾を飲んで次の言葉を待っていた。
「私は、どうしても同性だから、リルハちゃんの肩を持ちたくなる。
それは、本能的に仕方ないんだ、ごめん。
、でもね、ほんとに。
リルハちゃんに裏切られたのは知ってるし、それで柚が傷ついたこともわかってるつもり。」



