「う、ふぁぁ…ふっ……ぁぁぁ」
と、さっきまで泣いていたはずのリルハが、ケロッとした表情で俺を見る。
「…リルハ?」
「私、柚でもいいよ。」
そう口にするリルハの澄ました顔に、
思わず悪寒にも似た何かが身体中を駆け巡った。
「柚、桃にそっくりだし。
もうほんと、誰でもいいの。
付き合ってよ、ねえ柚」
不意に、頷きそうになる。
心のどこか、こんな最低なやつと叫ぶ俺もいれば、
まだリルハが好きだ、と呟く俺もいた。
「リルハ、のことは、
好きだ、だけど、
…悪いけど、桃の代わりとか、そういうことなら俺は付き合わねえ。
これからも、誰とも。」
リルハの歪んだ顔が目に入る。
どうしようもなく緩み切った唇が、俺に危険を知らせた。
強引に、
ーー俺とリルハの唇が重なった。
途中酸素を吸い込もうとして口を開け
「、はっ、…ん、んぅあ」
その隙に舌が侵入し、
気持ち悪く、生ぬるく、“それ”は絡み合った。



