伝説に散った龍Ⅰ






相談を受けた時、「好きだ」と打ち明けていれば、
未来は変わったかもしれないのに。



と同時に、ふと思う。



俺らの“幼馴染”とかいう生ぬるい関係も、
もう、終わりか。



あのぬるさが、俺的には最高だったんだけどな。



頬を温かい何かが伝って、
慌ててそれを拭う。



「…リルハ、ごめん」



沈黙が流れたあと、突然聞こえてきた桃の声。



予想もしなかった、
その、言葉。





「俺、彼女いるんだ。そいつのこと、俺は大事にしてるから」





うそ、だろ。



その時の桃に、なんだか俺の気持ちまで踏みにじられた気がして、



俺は駆け寄り、リルハの腕を取ると、その場を走り去った。



たどり着いたのが、「Bar rainy」。



俺はただ、



泣きじゃくるリルハの背中をさすっていた。