俺たちのリルハが、俺たちのリルハじゃなくなる、だなんて、
そんなこと
ーー考えたくもなかったのに、だ。
「ねえ、柚。
あたし、ね
…好きな人、できたんだ。」
顔をほんのり赤く染めながらそう言うリルハに、
絶望感を覚えたのは、
今考えてもその時が初めてだったと思う。
その日から毎日、
毎日のようにリルハから「好きな人」について相談を受けた。
日に日に増えていく、
心の中にかかった靄がなんなのかも、
それさえも分からないまま
…ずっと。
どうして桃には相談しないのか、
そんなの、
考えればすぐにでも分かったはずなのに。
バカだ、
究極に、間抜けだ。
その時は、そう
「桃よりも、俺の方が頼りになるから」
そんなことしか考えられなくて。



