そう言って、私を強く抱きしめた氷雨さん。
私はその抱擁を全身で受け止める。
そして、柚の方を見て、私と氷雨さんが伯父と姪の関係であることを説明した。
柚と氷雨さんにある関係がなんなのかは分からないけど、
柚がすごく驚いていたように見えたから。
すると柚は、納得したように頷いて、
優しく微笑む。
大げさに言えば、それが初めて見た、柚の本当の笑顔だったのかもしれない。
「氷雨さん、個室一部屋、貸してくれないかな」
私は、ゆっくりと氷雨さんを離し、
そう尋ねる。
「じゃ、5番の個室なら空いてっから。」
頷いたあと、柚の手を引いて、
5番、と書かれた個室に入った。
私はノンアルのカクテルを、柚はジンジャーエールをそれぞれ頼む。
柚はカクテルに目を輝かせて、「芹那、飲めんのか!?」と興奮していた。
「それで、本題に入るんだけど。
あの、リルハちゃんと、柚の関係、教えてくれる?
…ゆっくりでいいから
私はちゃんと、聞いてるから。」
柚は顔を歪ませたが、それは本当に一瞬で、
すぐに私を見つめ返すと、
ぽつり、ぽつりと、話し始めた。
【芹那side end】



