「しっつけえな!
俺は、お前とは付き合えねぇって言ったろ!?」



柚の、声だ。



柚の髪の淡い青、
夜空の濃い青、



遥かに違うであろう二つの色が、
何故だろう、重なって。



グラデーションカラーを生み出しているような、そんな気がした。



「どうしてよ!私は柚しか見てない!
柚しか、見えないの!私には、柚しかいないっ!!



こんなに、こんなに好きなんだよっ?



あたしじゃダメって?ねえ、柚!!
…、あの時のこと、なら。
私が謝るよ、ごめんって!
何回だって、謝る!



だから、ねぇ!柚!
柚ってば!!」



迷惑そうに言う柚に対して、反対に、そんな柚に必死に縋りつくように話す一人の女の子。



風になびくのは、艶やかな黒髪。



切れ長の、大きな目。
つやっぽい唇に、シャープを描く輪郭。



一言で言えば、
まさに、「綺麗」。



その辺にはめったに居ないような、そんな子だった。



その綺麗な顔にも、少しばかりではあるが化粧が施されていて。