「でもね、時々、芹那ちゃんの笑顔には、陰があるなって思う時があるの。
入学したての時。
絡まれてたの、私、3年の先輩に。
その時から髪の色ピンクだったし、その頃は私ショートボブで、ピアスもつけてたんだ。
結構派手な見た目してたの、要するに。
あの人たちからしたら、面白くなかったんだと思う。
『調子乗ってんじゃねえよ、一年が。』ってさ。
殴られそうになって。
目つぶったの、怖くて。
そしたら、まだ名前も知らなかった芹那ちゃんがそこにいて。
『簡単に諦めようとすんな。終わっちゃうよ?』って先輩の腕掴んでて。
まあ、私は芹那ちゃんのこと知ってたよ?可愛かったし。」
伊織が語る芹那は、本当にかっこよかった。
「でね、先輩が言ったんだ。
『こんなやつ、ダチ辞めなよ、うちらとつるんだ方がいいことあるよー』
って。
そしたら、芹那ちゃん。
『友達くらい自分で選べるっつの。
なんであんたらに友達作り手伝われなきゃいけないわけ?』だってさ。
笑っちゃうくらいね、
それくらい、真っ直ぐだったよ、あの時の芹那ちゃんは。
私はその時、同時に、芹那ちゃんの闇を悟ったの。
嗚呼、この子には何かあるんだろうな、って。
…そばにいたい、そう思った。
…どう?
ーー私の自慢の親友。」



