伝説に散った龍Ⅰ






「でもね、時々、芹那ちゃんの笑顔には、陰があるなって思う時があるの。



入学したての時。
絡まれてたの、私、3年の先輩に。



その時から髪の色ピンクだったし、その頃は私ショートボブで、ピアスもつけてたんだ。



結構派手な見た目してたの、要するに。



あの人たちからしたら、面白くなかったんだと思う。



『調子乗ってんじゃねえよ、一年が。』ってさ。



殴られそうになって。
目つぶったの、怖くて。



そしたら、まだ名前も知らなかった芹那ちゃんがそこにいて。
『簡単に諦めようとすんな。終わっちゃうよ?』って先輩の腕掴んでて。



まあ、私は芹那ちゃんのこと知ってたよ?可愛かったし。」



伊織が語る芹那は、本当にかっこよかった。



「でね、先輩が言ったんだ。
『こんなやつ、ダチ辞めなよ、うちらとつるんだ方がいいことあるよー』



って。
そしたら、芹那ちゃん。



『友達くらい自分で選べるっつの。
なんであんたらに友達作り手伝われなきゃいけないわけ?』だってさ。



笑っちゃうくらいね、
それくらい、真っ直ぐだったよ、あの時の芹那ちゃんは。



私はその時、同時に、芹那ちゃんの闇を悟ったの。
嗚呼、この子には何かあるんだろうな、って。



…そばにいたい、そう思った。



…どう?
ーー私の自慢の親友。」