伝説に散った龍Ⅰ






ポケットからタバコを取り出す。



ふっと吐いた息は、青い空に溶けていった。



「………烈」



か細い声を上げたのは、先程芹那を追いかけていったはずの伊織。



「ねえ烈。黙ったままでいい。聞いてて」



「ああ」



俺が返事をすると、伊織はポツリ、ぽつりと話し始めた。



「柚はさ、どうしてあんなこと言ったのかな。芹那ちゃんは、すごいんだよ。かっこいいんだよ。



飾ってないの、なんにも。



ものすごく、かっこいいんだ。」



時折相槌を打ちながら、
時折空を見上げながら。



話を聞いていた。



芹那のことを話す伊織は、今までに見た事ないくらい笑顔だった。



どれだけお互いがお互いを大切に、親友として思っているかが伝わってくる。



爽が妬くな。



そう思えるほど、きっと2人は仲がいい。