伝説に散った龍Ⅰ






ある事件以来、俺は女が嫌いになった。



付き合うことはあった。



手を出すこともあった。



でも、それはきっと、本心からじゃない欲求不満を埋めるため。



これは、あくまで憶測。



あいつも、男が嫌いなんじゃないか。



……いや、少し違う気がする。



きっと、あいつは……芹那は。



人間が、嫌いなんだ、
欲にまみれた、汚い人間どもが。



色がなかったあの、目に。



俺は、なぜか色をつけたいと思った。



あの闇を、呑み込んでしまうような光を。



そんな「興味」、



確かな「興味」。



はじめて、
その心に触れてみたいと、思った。