伝説に散った龍Ⅰ






「泣かないで、私も伊織のこと信じてるし、大好きだよ?



…でも、一旦距離を置かせてほしい。



聖那のこともあって、混乱してて。
全部終わったら、元に戻ろ?



それまで、待ってて。
伊織の隣以外、こんなに楽しい場所、見つけらんないよっーー」



ずるいね、芹那ちゃん。



どこまでも、ずるい人。



辛いって、



すごく辛いって。



その、歪んだ感情を押し殺した、その上での優しさ。



それが分かってるから言えない。



嫌だ、なんて
芹那ちゃんを拒否するような言葉、



絶対に。



頷きざるを、得ない。



つよくみえて、



それでいて弱いし、脆いし。



それでも、その背中が……何よりも美しいから。



不覚にも、信じてしまうの。
あなたは、真っ直ぐで。



どこか



ーー曲がりくねってるの?



【伊織side end】