なんなんだよ、あの女。



見れば見るほど、あっちのペースに引き込まれていく。



まるで自分が自分じゃないみたいに



捕えられて
うごけなく、なる。



「……っ柚!!どうして芹那ちゃんにあんなこと言ったの!?



芹那ちゃんね、ああ見えてもすっごく傷つきやすいの!!
私なんかよりも、ずっとずっと脆いの!



芹那ちゃんが、私のため思って強がってるのもわかんないの?
私にも教えられない秘密背負って、一生懸命強がって生きてるっ!



なのに、なのになんで!!
どうして傷つけるような事言ったのよ…?



私はっ、芹那ちゃんの味方でいる!
何があろうとも、味方でいるからっ!



次そんなこと芹那ちゃんに言ってみなよ、いくら柚たちが相手でも、
絶対に許さないっっ!!」



そんな伊織の言葉で、吹っ飛びかけてた意識が戻った。



気づいた俺の目に映ったのは、屋上の出入口に走り去る伊織の背中だけ。



バタンっと乱暴な音を立てて閉じられたドアを力ない瞳で見つめる。



…言いすぎた。
そう思うにはもう遅かったらしく。



全員が困ったように顔を見合わせた。



【柚side end】