俺は、本当に昔から芹が好きだった。
芹の書く歌詞も、その歌声も全て、全部が、俺の心を鷲掴みにする。
心に突き刺さった歌が、俺を変えた。
女嫌いだった俺が、なぜか芹だけは大丈夫で。
それを、芹と名乗る…俺は、正直あの女の目が嫌いだ。
円堂 芹那。
あいつの、揺るぎない闇-クロ-の目が。
一瞬でも見てしまえば、もう逸らせない。
そのオーラを、
あいつからは感じる。
さっきだってそうだ。
俺たちに突っかかる隙さえ与えずどこか強気に見えたあの女。
けど、目は正直だと思った。
揺れてたんだ。
綺麗に大きく開いた目が、
俺の言葉を聞く度、「助けて」と叫ぶように。
ーーもう辞めて。
そう、訴えかけるように。



