「まあ、私にも否はあったと思う。だから言うけど。



残念、水月柚、あんたはだいぶ間違ってる。私が芹だって言うのはほんと。優しい歌?そんなの、歌えばわかる。



それにさ、伊織のことどう思ってるかなんて、あんたに語られたくない。



私にとって伊織は宝物同然。
あんたらと同様、伊織は姫なの。
私の、守るべき姫。



黒龍に近づくための口実だって?
ありえない。



私が伊織といる時間をさ、軽く語んないでよ。
近藤にも負けないくらい思ってるの、大切な、友達として。



それとね、女嫌いなのは、私がどんな人なのかってことに関係ない。



女をひとまとめに感じてるようなら訂正した方がいいよ。
それだけ、じゃ。」



私はひらり踵を返し、
滞る雰囲気の中、



泣きそうになるのを堪えながら屋上をあとにした。



【芹那side end】