「えまさか、伊織を笑ってたの?」
満面の笑みでそう言った。
ガクガクと震え出す彼女に視線を合わせ。
その顎に指を滑らせる。
「ごめんなさ、い、もうっ、しない」
「もうしないから何?」
「許して、お願い許してっ」
「へえ」
「ごめんなさい、ごめんなさいっ、ほんと、にっ、もうしない」
「それは最低限」
オプションが必要だよ、咲良。
「“許さない”っていうオプションが」
その時にはもう既に、彼等も犯した罪の重大さに気がついていたはずだ。
遅すぎるけれど。
「真面目に教えて欲しいんだけど」
「…うぅぅ…っ」
「どうしてアンタが伊織を恨んでいいの?」
「んぅ、っごめ、なさ」
「どうしてアンタが泣いていいの?」
「ごめん、なさ」
「謝って済む問題だと思う?」
「思わない、っ思わない…っ」
「だよね」
そうだよね。
アンタが怒らせたのは私だけじゃないもの。
「まさか、まさかほんとに」
「黒い龍がお怒りだよ」
「っ…、ああぁぁぁぁあ゙!」
「アンタもアンタもアンタもアンタも」
もう間もなく、狩られちゃう。
んふふ、やっと気がついた?
怪しく光る笑みのその奥。
驚く程に強大な怒りを
咲良は間近で見ていた。
「やっていいことと、悪いことがあるよね」
「…やめてっ、やめて円堂さ、っ」
「その区別もつかないようならきっと死ぬね、咲良は。誰よりも早く」
「、っごめんなさい…っ」
「覚えといてね。おバカな皆さん」



