「芹那ちゃ〜ん」
「なあに」
「えっへへ」
「何、なんか楽しそうね」
「当たり前でしょ」
「おかしな子だね」
「芹那ちゃんの隣にいるだけで楽しい!」
「…ほんと。面白いねあんた」
「ありがと!!」
ーーちょうどいいバカの加減。
1言えば10聞き返してくる、
そのしつこさにすら愛着が湧く。
雪のように真っ白い肌。
ほんのり赤く染まった頬は年中無休で
くるんと上がった
女ならば誰でも羨むようなまつ毛も、どうやら天然物だという。
彼女が異性のハートを射止めてしまうことはきっと自然の摂理で
射止められてしまう男たちにも罪はなく。
それに、長い間隣で見てきたから。
自分に告白してくる男が何人いようと、彼ら全員と正面から向き合ってきた
その、小さな堂々とした背中を
一番近くで見てきたのは私だったから。
そして、そんな伊織にもついに彼氏ができ
子が親離れしていくような気持ちで見つめる私に
伊織の口からはっきりと動いた。
ーー彼は、『不良』なのだと。
瞬間、私の心臓は大きく跳ね上がる。
そんな男の彼女になるということがどういうことなのか、この子は理解しているだろうか、
伊織のハートを射止めたらしい『彼』は、伊織にしっかりと説明したのだろうかと。
私は当然の如く反対したが、
それも虚しく、伊織は私の反対をとうとう押し切ってしまった。
ーーそして何より
伊織は、その彼のことが本当に好きみたいだった。心の底から。
『いい人なんだよ、すっごく!』
そう言って力強く笑った伊織はいつにもまして綺麗で。
私も伊織が大好きだから。
伊織にこんな笑顔与える『彼』を、
私が独りよがりに侮辱するのもまたおかしな話だ。
伊織が『好きだ』と思うものは、私も大切にしたい。
そう思う。



