「お前、いつもなにもないところでコケるのになんでこんな時にだけ上手く走るんだよ」
モトちゃんは息を整えながら私の手を掴んだ。
その手はやっぱり優しい。
なんでモトちゃんはこんな私のことを選んでくれたのかな。もっと相応しい人になりたいのに、私はいつまで経ってもポンコツのまま。
「モトちゃん……。私のことキライにならないでっ……」
気づくと私はぽろぽろと泣いていた。
するとモトちゃんは大きなため息をはいて、ゴシゴシと私の涙を拭く。
「キライになんねーよ。つか、そうしたくてもできないから困ってんだろ」
「モトちゃん、痛い」
「じっとしてろ」
頑固な汚れを落とすみたいに、モトちゃんは私の顔をぐちゃぐちゃに拭いた。絶対、絶対今の私はすごい顔をしてるのにモトちゃんは笑わない。
そういえば、モトちゃんは私が失敗したり、間違えてもバカにするように笑ったことはない。
いつも「大丈夫か?」って、心配してくれる。
そういうところがすごく好き。
「ってかお前、これはなんだ」
モトちゃんは私になにかを差し出した。それは私がお尻の下に隠しておいた手帳。



