真っ暗な部屋に浮かび上がる青白いブルーライトの光。

画面の向こう側では遊び半分で行った肝だめしのホームビデオが映し出されていた。
 

廃墟ホテルの地下室へと続く階段を降りて、突き当たりのドアを開けると、そこにはこの世のものとは思えない女性の顔が――。



「つーか、もっと怖がれよ」


隣にいるのは幼なじみのモトちゃん。名前が元樹だから、私は昔からそう呼んでいる。

私はとっても静かに見ていたのに、なぜかその顔は呆れ顔。


「なんで消しちゃうの?今すごくいいところだったでしょ?」

せっかく長い前振りが終わってこれからメインとなる映像が出てくるはずだったのに。


「いや、いいところじゃねえんだよ。俺が求めてたのはもっとこうお前がブルブル怖がって俺にしがみついてきたりとかさ」

「もしかしてモトちゃん怖かったの?さっきから私の手を握ってきてたけど」

「こえーよ!お前のために一番ヤバそうなDVD借りてきたのになんで俺がビビってんの?手握ってくるのは彼女のほうだろ」

「ごめん」

「いやいや、ごめんとかじゃなくて……あーもう!心霊番組はおしまい。喉乾いたからなんか飲み物とってくるわ」


モトちゃんはそう言ってリビングがある一階へと下りていってしまった。