待ちに待った土曜日。

目的はアルバイト先の中学生への誕生日プレゼント選びだ。

しかし買い物と呼ぶには少し寂しいため、勝手に心の中ではデートと呼ぶことにした。


レースがあしらわれたクリーム色のトップスにピンクのフレアスカートと、サンダルという勝負服で先輩を待つ。

髪も時間をかけて綺麗に巻き、女子力がアップしているといいんだけど。


携帯で時間を確認する。
少し早く来すぎたかな。


メールをチェックすると、雅美からの"上手くやれ"という彼女なりの気遣いの言葉と、もう1通ーー

"今夜、電話するね"というメッセージが届いていた。
このタイミングでメールをしてくるあなたには全てお見通しなのだろうね。


「難しい顔してどうしたの?」


メールに気を取られていた私は、黒瀬先輩の登場に気付けなかった。


なにやってるんだろ。
せっかくのデートなのだから、手を振って迎えたかったのに。


「あ、いえ」


「暑かったかよね。待たせてごめん」


「いえ!今来たところです」


ベタな台詞を先輩とのデートで言えたなんて大満足だ。

今は黒瀬先輩のことだけを考えて、楽しまないとね。