日菜子のお父さん、流石は一国一城の主たる社長さんだ。
実の娘だろうと、就職して雇うとなればそれなりの事は必要だ。
そして、模試の結果を採用基準にしたのだろう。
模試の結果なら勉強の得手不得手の範囲もわかりやすいだろうし、判断基準にするのだろう。

「それじゃあ、頑張らないとな。フリーターはいやだろ?」
「当たり前じゃない!」
「じゃあ、努力しろよ?」
「言われなくても、わかってる!」

要くんと日菜子の掛け合いは実にテンポがいい。

「そう言えば、聞いてなかったけれど要くんと蒼くんは進路どうなってるの?」

この会話の流れで気になったので聞いてみた。

「俺は大学進学予定だよ。指定校推薦貰えそうなんだ」

進学を口にしたのは要くんだ。
確かに英語が足を引っ張っていたけれどほかは平均値以上だし、何かやりたいことも決まっていそうなのでいいのではないかと思う。

「あ、俺は声がかかったからJリーグの入団テスト受けるんだ」

サラッと言われて、聞いてから理解すると目を見開いて驚いてしまう。

「蒼くんJリーグのチームに入るの?」

「まだ、わかんないよ。結果次第じゃないかな?一応だから進学の予定で俺も指定校推薦貰う予定」

みんな、それぞれ先が決まってきてるんだな。
ちょっぴり羨ましくなった。