もう少し、二人で一緒に居たいって……。

だから送って行くって……。


まさか、ね?
だって、要くんはサッカー部で話題のイケメンだし。
校内では同級生からも、下級生からも人気でイケメンともてはやされてる。

そんな要くんが、こんな取り柄もない私が気になるとか?
そんなこと、ある訳無い、無い!

そこまで考えてふぅと一息ついて首を横に振っていたら、要くんが少し呆れた声で言う。


「有紗。考えて、自己完結して落ち着いたとこ悪いけど……。有紗が考えないようにした方が正解だぞって言っとくな。じゃないと俺、どこにもいけないし、なにも出来なくなりそうだから」


要くんは私を見つめて実にいい笑顔を浮かべている。
私は言われた事に、ギョッとするとなんとか返事をする。


「要くん?そんなこと言われると、どうしたらいいのか分からないよ……」

じわじわと理解して、言葉を返すけれど私の顔はきっと今真っ赤に染まってることだろう。

「ほら電車来るから、お姉さんに連絡しろ」

そう言われて慌ててお姉ちゃんにメールすれば、これからここに止まる電車に乗っていると言う。
今日は仕事が忙しかったみたいだ。

「来る電車にお姉ちゃん乗ってるみたいなの。お姉ちゃんと合流して帰るよ」

メールの返信から伝えると、要くんは少し残念そう。

「じゃあ、乗るまで見送らせて」

「うん、ありがとう」

ホームに電車が来るアナウンスと音楽が流れ出した。