卒業式ではまとめてクラス代表が受け取った卒業証書を教室で担任から一人ひとり受け取る。

私の時は先生が私の席に来て渡してくれた。

「汐月有紗、卒業おめでとう。汐月は今後どうする予定なんだ?」

先生は就職の子には頑張れよ!
進学の子にはちゃんとこの先も勉強しろよ!等と声をかけていた。
私の答えにクラスのみんなが聞く姿勢なのか静かになる。

「四月から一ヶ月、中途失明者や弱視になった人のための生活訓練施設に入って白杖を使っての歩行訓練や生活に必要なことの訓練を受けてきます」

私の答えに、少なからず成績を知ってるみんなは驚いていた。
進学するものだと思っていたのだろう。

「それが済んだら、そのあとは?」

その問には、私は少し照れつつも答えた。

「来年、一年の浪人なりますが音大を受験します。声楽科に入るのが希望です」

そう、私は歌うのが好きだ。
難しいこともあるかもしれないけれど、好きな音楽を歌を学ぶ道にみんなより遅くなるけど進みたいと思っている。

「そうか!汐月、進学の際なにかあればいつでも相談に乗るから連絡してこい」
「ありがとうございます」

私たちの会話が済むと、先生はまた卒業証書を手渡していく。

そして、先生がクラス全員に配り終わると話し始めた。