学校に着くと、卒業式独特な感じでみんなソワソワしている。
今日は既に日菜子と蒼くんは先に来ていたようで、教室で会った。
「日菜子、蒼くん。おはよう」
「有紗、要!おはよう」
今日の朝私の髪はお姉ちゃんによってゆるふわカールにされてハーフアップにまとめられた。
さらにナチュラルメイクまでされて、制服なのに綺麗にまとめられている。
「お姉ちゃん!こんなにする?」
驚きつつ突っ込んだけれど、私はなされるがまま。
「高校の卒業式は一度きりよ!写真も撮るでしょう!綺麗にしとかないと!」
そんなゴリ押しのお姉ちゃんに、お母さんまでもが言う。
「さすがお姉ちゃん!お父さんにも頼まれたしバッチリカメラで撮ってくるわ!」
どうやら、卒業する本人よりなにか別なところに気合が入っていた家族だった。
そんな今朝を振り返っていると、どうやらボケーッとしていたらしい。
「有紗、今日可愛い!お姉ちゃんがやってくれたの?」
私のメイクや髪型に気づいた日菜子が聞いてくる。
「そう、お姉ちゃんが卒業式は一度きりよ!気合い入れて可愛くしてちゃんと記念に写真を撮ってくることって」
その言葉にクラスの女子達が騒ぎ出して、教室の後ろに女子みんなで並んで記念撮影会になった。
見えないけれど、私のヘアメイクも目立つことないくらいみんな、今日は綺麗にしてきてるらしい。
お姉ちゃんは間違ってなかったようだ。



