眩しさの中、最初で最後の恋をした。


要くんの家で、ゆったりと過ごしたあとお母さんからメールが届き要くんの運転で家まで送ってもらった。
お父さんは電車通勤らしく車は休日しか使わないらしく、今日も私を送り届けるのに安全運転で使うようにとひと言貰って借りたと言う。

今度会った時にお父さんにもお礼を言わなくては。

そう思いつつ、車に乗ればあっという間に我が家までたどり着く。

明日はとうとう卒業式だ。

私をしっかり玄関まで送り届けてくれる要くん。

「また明日!ちゃんと迎えに来るから」
「ありがとう、また明日」

そんな前日を過ごして、翌日。

制服を着る最後の日。

感慨深い気持ちで制服に袖を通す。

チェックのプリーツスカートに、紺のブレザー、赤のネクタイの制服は近隣校の中では可愛くて人気がある。

そんな制服を着て、朝ご飯を食べて準備を終える頃要くんが迎えに来てくれた。

「おはよう、要くん」
「おはよう、有紗」

そんな挨拶を交わす私たちに、お母さんが声を掛ける。

「後から行くからね!要くん、よろしくね」
「はい!」

そんなお母さんに返事をして、私達は今日で通うことのなくなる道を歩く。

卒業式の今日は、冬晴れでここ数日の中では温かい日差しが指す日だった。