眩しさの中、最初で最後の恋をした。


それは楽しそうにクスクスと笑いながら言うお母さんに、要くんが少しぶっきらぼうに返事をする。

「そこまで言わなくてよかったんだけど!」

そして、私の額にコツンとぶつかってきた要くん。

「変なバラされ方したけど、本当に俺がやりたくてやってるから気にしないで。俺、有紗と一緒に過ごす朝が楽しくて仕方ないから」

そこで言葉を区切ると、額を離した要くんが耳元に囁いた。

「もっと早くやってみれば良かったと後悔してる位だから、気にするなよ!」

その声は照れを含んでいて、私は胸が温かくなり、キュンと甘く鳴る鼓動に手を当てていた。

「要くん、ずるい。いつもドキドキと幸せにしてくれちゃって!」

そんな私の返事に、要くんはクスッと笑うと耳元からの戻り際に頬に掠めるキスをした。

「もう!」
照れた私に、サラッと要くんは言う。

「母さんはもう、キッチンに行ってるから大丈夫」

私が言いたかったことは、難なく伝わっていたようでそんな返事が返ってきたのだった。

「要!有紗ちゃん手洗いうがいしてらっしゃい!ご飯用意出来るから!」

そんなお母さんの声に答えるように、手を引かれて洗面所に行き手洗いうがいを済ませてダイニングに戻ると、美味しそうな匂いがした。

「今日も寒いからね、スープパスタにしたわ」

トマトスープのパスタは生姜も効かせてあって、食べたら体がポカポカ温まった。